ある日、店舗に常連様がお越しくださいました。
そのお客様とは、長年のお付き合いです。服が大好きな方で、毎回ご来店されたときは服の話で盛り上がります。2歳のお孫さんもいらっしゃるおばあちゃんでもあります。
その日、30年前に子供に着せていた服と自分で着ていた服を持ってきてくれました。その服は、ぼくが初めて就職してお世話になった子供服ブランドの服でした。
僕 「うぉー、これ〇〇さんの服ですね!むちゃくちゃ生地いいですね!いい感じにやられてますね!」
お客様 「これ、うちの娘が30年前に着てた服やねん、しっかりしてるやろ?今でも十分着れるし、雰囲気もええし、そら今の時代はファストファッションも、10年持つ品質になってるけど、生地のやられ方が違うと思うねん。なんかカッコいいやろ?なんでやろな?」
そんな話を聞きながら、ぼくは、ふと自分が小学生のときに着ていた服の事を思い出しました。
『うゎ、おれ小学生の時、ずっと〇〇さんの服着てたわ』と、、、
今、思えば30年前の日本の子供服メーカーの品質は世界一と言われていた時代で、あの時代の子供服は、とにかく生地が丈夫で良かったんだと思います。
もちろん、現代もいい生地はたくさんありますが、作る過程と良さの種類が違うというか、、、もしかしたら、今、自分達がこだわって作ってる商品のルーツは子供の時に着ていた服かもしれないと思いました。
まして相棒は、今では希少になっている40年から50年前のアメリカのビンテージに直接触れて仕事をしていたし、綿100%が当たり前の時代で、しっかりと時間と手間を掛けてつくる生地は、丈夫で着心地が良いのが普通だったのかもしれません。
そしてお客様にはお買い上げいただき、帰り際に言っていただいた言葉が忘れられません。
お客さん 「今日も、ありがとう! あっそうや、うちの孫、2歳やねんけど洗濯干してるとこから、自分の好きな服取っといでーって言うたら、ここの服しか、とってけぇーへんらしいわ!なんでやろな? 2歳やで!」
僕 「えっほんまですか? なんかむちゃくちゃ嬉しいですわ!!2歳の子が選んでくれるって!!」